フィギュアの皇帝がもつ姿勢バランス

銀盤の上で音楽に合わせてステップ・ジャンプ・スピンなどを、芸術的に組み合わせて舞い踊るフィギュアスケート

素人なら立つのすら困難な氷上で、
より滑らかに、しなやかに、そして力強い演技を、華やかな笑顔をみせながら平然と滑走するトップ選手達は、凄まじいボディバランスの持ち主です

その中でもフィギュアスケート界の皇帝・プルシェンコは強力です

簡単なプロフィールを紹介すると、

本名:エフゲニー・ヴィクトロヴィチ・プルシェンコ(Евге́ний Ви́кторович Плю́щенко)

オリンピックでは、
2002年ソルトレイクシティ銀メダリスト
2006年トリノ金メダリスト
2010年バンクーバー銀メダリスト
2014年ソチ金メダリスト
世界選手権では優勝3回、
欧州選手権では優勝7回、
グランプリファイナル優勝4回
グランプリシリーズ通算22勝
というレジェンド級の記録をもつロシア出身の男性フィギュアスケーターで、
ロシア連邦功労スポーツマスター

姿勢やボディバランスに関する私的見解を、そんな生ける伝説・プルシェンコの能力を解剖しながら一般の方にも活かしてもらえるように述べたいと思います

姿勢バランスの重要性


フィギュアスケートはもちろん、一般人である私達にも重要とされる姿勢がもつバランス
それは「体軸」という要素で表されます

体軸とは、身体を動かすときに文字通り軸となる、地面から自身の頭の頂点までを1つの線として繋ぐものです
もちろんそれは動きの中で身体の中心になくてはなりません

あの不安定な氷上で抜群のバランス、回転力、そして瞬発力あるパフォーマンスは、
その体軸をまっすぐに保ちながら演技できる「正しい姿勢」がもつ機能が関係していると考えます

正しい”形状”をもつ姿勢が発揮する能力の中で代表的なのは下記2つ
・身体感覚の正常化
・動作の安定化と流動化

これらが、重心を安定させながら流れるように移動して、摩擦の少ない氷上を角度をつけたキックで高くジャンプするボディコントロールを実現させます

プルシェンコのみならずフィギュアのトップ選手達の優れているのは、天性のセンスや運動能力もさることながら、
正しい姿勢をもつバランス能力に長けているところでしょう

身体感覚の正常化

正しい姿勢の形状をもつと、身体のポジションやバランスについての感覚知覚が磨かれます
身体の各部が、あるべき場所に位置すれば、その状態を自らの体と脳が、”感覚”として記憶してくれるからです

そうすると、いま自分の体重が足の裏のどのあたりにかかっているか、体幹は左右どちらのほうに、どれだけ倒しているか、などが脳に正しくフィードバックされるようになります

感覚とはより鋭敏に磨くことで、
身体のバランスに異常があれば「いつもと何か違う」と気づき、「自分の体がいまどうなっているか」わかるようになるということです

フィギュアでバランス感覚は絶対の能力です
プルシェンコは滑走しながら、自分の姿勢・体勢をいまどのくらい倒しているかなどの感覚を、きっちりと掴んでいるのでしょう

その上で彼は何万回という反復練習を行って、どう身体を動かすかのモデルパターンを頭と体に刻んでいったのでしょう

その感覚を身体が記憶しているため10年以上に渡りパフォーマンスを誤差なく維持できていることに繋がります

あなたが正しい姿勢を維持したいのなら、この感覚知覚は鍛えなければなりません
なぜなら身体には、いつもとる姿勢の形であろうとする「形状記憶能力」があるからです
骨格矯正などに行って姿勢が良くなったのに、しばらくしたらまた悪くなる人はそういうことが原因の1つです
感覚知覚が発達することで、正しい姿勢から歪みはじめたとき、自分が今、どう歪んでいるかに気づき対処できるようになります

感覚や知覚は神経受容器が大きく関わるために、
・良質な睡眠
・適度な休み
・適度な運動
などでしっかりと神経の健康を保てば自然に感覚は研ぎ澄まされま

身体感覚の重要性

身体感覚は自分が脳内でイメージした動きを身体で正確にトレースできる再現力に関わってくるため、かなり重要です

感覚に誤差があるということは、
・まっすぐに立つ
・普通に歩く
・走ったり跳んだりなどの運動時
・様々なスポーツ動作時
など全てのシーンで、自分は思ったように動いているつもりでも”実際の動き”はズレているということです

姿勢が正しくても、そのズレを重ねることで身体は歪み、やがては運動の質を低下させてしまうからです
(「アメトーーク」 の運動神経ワルい芸人さん達がVTRで自身の散々な姿を観て「頭ではできているんです」と言うのは体は頭の中の動きを再現できていないということです)

一流のアスリートは自分のイメージした動きを忠実に再現できています


プルシェンコは氷上での演技で、自分が感覚をもとにしてイメージした、
重心の位置・頭の位置・四肢の位置・表情の様子などを忠実に再現して滑っていると思われます

動作の安定化と流動化

正しい姿勢をもつということは、あるべき位置に重心と体軸が置かれるということです
そうすることでバランスは安定して、左右のどちらかだけ筋肉が固くなることはないので、動きもスムーズに変わります

銀盤でのプルシェンコの動きは滑らかでいて、しなやかです
イーブンアウトされている姿勢が、筋肉のバランスを良くして、安定感ある演技と肉体のコントロールを可能にしているのでしょう

逆にいえば正しい姿勢でいなければ、動作や安定はできないということです

例えば、姿勢が前のめりに偏るような歪みをもつ人は、常に体重が前側にかかって
・バランスの不安定化
・前側の筋収縮
などに陥りがちです

あなたが動いたとき瞬間的に反応して最大限に力を発揮する筋肉は、前側に体重がかかっている限り、あなたが咄嗟に使う筋肉はいつも前側で設定されます
そうすると、他側の筋肉はうまく働かなくなってパワーバランスや、動きにズレを生じさせます

このため、動作の安定化と流動化を求めるのには正しい姿勢が不可欠だということ
そして、その正しい姿勢を維持するためには、正しい動作と動力が必要ということです

正しい動作をおこなうには、動力に適した”力量”を正確な”ベクトル(方向)”で身体を操作する能力が必要です
力が不足していたら動作は崩れるし、力み過ぎたら動作はぎこちなく、すぐに疲れてしまいます

力量でいえば、ほとんどの人は過剰に筋肉を働かせ過ぎです
眠っているときに歯ぎしりをしてるはまさにそのタイプ

かの有名な剣豪・宮本武蔵も重要性を説いていたほど大切なのが脱力」
それほど”不必要な力”は動作を行う上で害となるのです


滑走中も無駄なパワーは使わない脱力状態

正しい姿勢バランスをもつメリット

あなたがプルシェンコのように高いパフォーマンスを発揮したければ、正しい姿勢バランスを持つことは大きなメリットになります

トレーニングの効果や効率が上がる

“姿勢がよくなる”ということは運動や練習を”正しいフォーム”で行い続けやすいということです
それだけでも運動効果は高まりますし、正しい姿勢は筋肉のストレスを軽減するので、効率よくトレーニングができます
そして、筋肉発育も高まるためボディメイクにも有効です

集中力が上がる

正しい姿勢をとることで、筋ポンプは高まり、内臓の位置も正しくなるので血液循環がUPするので、より脳機能も活発になり集中力が上がります

パワーが上がる

正しい姿勢は関節の連動(キネティックチェーン)がしっかりとなされるようになり、全身の力をまとめて発揮しやすくなり、パワーが最大限に出せます
むしろ姿勢が悪いとそれが出来ず、全身の力が弱くなるパワーレス状態になってしまいます

 


スケートを履きながら、頭ー肩ー骨盤ーくるぶし
まで見事な姿勢ラインです

身体のバランス・コントロール・パワーすべてをまとめあげるフィギュアの皇帝・プルシェンコを支えるのはその圧倒的な「姿勢の良さ」と「体幹の強さ」
フィギュア選手じゃなくても欲しいその能力は、完全無欠な芸術です

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